生徒の方によく聞かれる質問です。「この単語とこの単語はどちらも日本語の訳は〇〇になってますけど、何が違うんですか?」
僕も昔学習者として思っていた疑問です。違いがある場合ももちろんあります。特に、この単語は会話でよく使われて、こちらの単語は書き言葉で主に使われる、というようなケースはよくあります。ただ、中にはネイティブに聞いても違いはないと言われる単語もあります。それでは、なぜそのような同じ意味の単語が何個も存在するのか、僕が個人的に思う理由は「言い換えのため」です。
英語は同じ言葉の繰り返しを嫌います。新聞の記事を読んでいても日本語だと「この試合で、イチローは3本のヒットを放ち、勝利に貢献。これでイチローの打率は3割に乗った。10月はイチローの月になるかもしれない」というような書き方ですが、英語の記事だと「この試合で、イチローは3本のヒットを放ち、勝利に貢献。この衰えを知らぬ40歳の打率は3割に乗った。10月はこのミスター安打製造機の月になるかもしれない」というように固有名詞であるイチローも代名詞を使ったり、違う言葉で言い換えたりします。TOEICの問題にも記事が出てきますが、その中でこのように人の名前を言い換えられているがために、同一人物と気付かずに混乱している生徒の方もよく見ます。
余談になりましたが、例えば論文などの学術的なものになればなるほど、この傾向は強まります。同じ意味の単語が複数あることは、決して無意味なことではなく、言い換えのためには必要なのだと思われます。
生徒の皆さんには、同じ意味の単語は、よく使う単語を中心に覚えて、ついでにこれが同義語という感じでくっつけて覚えるといいと教えています。